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だらだら思いつくままに香港フィルのコンサートの感想を書いています
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2005/2006シーズンについてお知らせする事お伝えしていながら、遅くなってしまいました。新シーズンは9/15よりスタート。そしてプログラムは芸術監督・主席指揮者のエド・デ・ワールト指揮でR.シュトラウスの「エレクトラ」(9/15,17)。演奏会式オペラをシーズンのいきなり最初にもってくるなんて、なんという意気込みでしょう!2004/2005のシーズンでは同じくシュトラウスの「サロメ」を演奏会形式で演奏しましたが、その時はシーズンの途中。野球でいうと開幕戦からぶっちぎり独走を狙う、そんなプログラムですね。

他のデ・ワールトの指揮ではピアニストのキムタクとか言われているユンディ・リとの共演でリストのピアノ協奏曲1番(1/26,27)。キムタクとはとても思えないけど、ぼくは彼のピアノの音が結構好きなんで、CDも何枚か買いました。香港でコンサートを何度かやっていますが、いつも即日完売。あとモーツァルトの39-41番を一晩で一気に聴かせてくれるコンサート(6/16,17)ってのもいいかな。客演指揮ではまぁ取り上げさせてくれないプログラムとしてはやはり「スターウォーズ組曲」(1/13,14)ですかね。映画音楽に絡む曲としたらデ・ワールトの師匠バーンスタインの「ウエストサイド物語シンフォニックダンス」(6/2,3)。以前音楽監督を務めたミネソタ・オーケストラと同曲の録音がありますが、レニー以外の録音では、このデ・ワールトの録音が好きですね。僕が香港に住む直前にデ・ワールトがシドニーSOと来日した際、このCDにサインして貰ったけど、まさか彼が香港フィルの芸術監督になるとは全く夢にも思いませんでした。

ちなみにデ・ワールトの指揮は今シーズン計22回だったけど、来シーズンは16回。シーズン自体のコンサート数は今シーズン53回に比べ47回と全体的にスリムになりました。

客演指揮としてはラザレフ指揮竹澤恭子VnでプロコフィエフのVn協奏曲2番(11/25,26)、ヤープ・ヴァン・ズウェーデン指揮のショスタコ8番(4/21,22)と同じくズウェーデンによるベートーヴェン5番、ジェルメッティによる悲愴(7/7,8)。竹澤恭子は何回目の香港フィルの共演?と思うくらい、ほぼ毎年香港にきます。そしていつも期待を裏切らない素晴らしい演奏会をしてくれるので、今回も楽しみです。ズウェーデンは最近とても注目されている指揮者。そんな彼がショスタコの8番をどう料理するかですね、そしてジェルメッティ。随分前から注目していたし、好きな指揮者なのですが、未だに演奏会を聴いたことがないのです。

全体的にはあまり目立った企画といったものはないですが、じっくり音楽を聴かせてくれる、そんな2005/2006のシーズンかと思います。

詳しいことは香港フィルのコンサートリストをご覧ください。

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ヘンデル; 合奏協奏曲作品6 第4番
バッハ; 無伴奏チェロ組曲 第3番
ヴィラ・ロボス; ブラジル風バッハ 第5番
エルガー; チェロ協奏曲
指揮; エド・デ・ワールト
チェロ; トルルス・モルク
ソプラノ; リサ・ラッセル

指揮をつとめるエド・デ・ワールトは最初のヘンデルとエルガーだけ。一方チェリストのモルクはヘンデル以外にフル出場といった殆どモルクのリサイタルのような演奏会。

さて冒頭のヘンデル、香港フィルにしては珍しく両翼配置。ヴァイオリンが包み込むような音色になるし、チェロやコントラバスは正面を向いているため、低音がしっかり旋律を支え、配置変更の効果は絶大でした。オケが実に丁寧に演奏したので、なかなかの好演でした。

さてバッハの無伴奏、CDなどでは何度も聞いているけど、アンコールで一部を聞く以外に演奏会のプログラムとしてちゃんと聞くのは今回が実は初めて。ボクが好きな無伴奏のCDはピーター・ウィスペルウエイの、それも1回目の録音。一方モルクの演奏はCDでも生演奏でも今回が初めて。最初に感じたのはチェロの音色が実にしっかりしていること、プログラムを読むと彼の故郷ノルウェイのSR銀行が彼のために買ってあげた1723年製モンターニャ。モンターニャといえば、マイスキーのチェロもそう。でも弾き手が異なるので、勿論同じモンターニャでの音色は全く異なっていました。マイスキーの音色は陰影に富んでいて少々神経質な感じがしますが、モルクの音色はどちらかといえば質実剛健、って感じ。大枠から音楽を捉えているというのがモルクの演奏かな、そんな雰囲気です。

バッハのことからモンターニャに話がとんだけど、ヴィラ・ロボスでもエルガーでもモルクの音楽については同じ印象でした。それにしてもヴィラ・ロボスの演奏もなかなかよかったです。イギリス人や香港人からなる香港フィルのチェロメンバーと一緒に実に楽しそうに合奏してました。最後のエルガー、デ・ワールト再登場。実はヘンデルでもそうだったのですが、いつもの彼よりは少々踏み込みが足らない印象が拭えませんでした。1週間ほど前にアクシデントがあり、膝を痛めたのがもしかしたら原因かも知れません(そのため数日前に行われた記者会見、デ・ワールトは大事を取って欠席)。来週から2週間、読響との初共演がありますが、是非良い演奏を聴かせてくれるといいですが・・・。

さてまたモルクの話に戻りますが、冒頭に書いたようにまさにリサイタルのような演奏会。でもリサイタルだとコンチェルトは聴けないし、コンチェルトのコンサートだと、アンコール以外でソロ演奏は聴けないし、ましてチェロ合奏の演奏なんてまぁ無いでしょう。しかし今回のコンサートは全部一晩で聴かせてくれました。おまけにアンコールは「鳥の歌」。こんなチェロ三昧な演奏会はなかなか無いと思います。実に贅沢なプログラムでおなかいっぱいになりましたです。

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香港フィルの2005/2006シーズンが発表されました。
なんとエド・デ・ワールトがスターウォーズを指揮!

詳細はのちほど!


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ベートーヴェン; フィデリオ序曲
モーツァルト; ピアノ協奏曲21番
フンメル; ピアノ協奏曲2番
ベートーヴェン; エグモント序曲3番
指揮; サミュエル・ウォン
ヴァイオリン; スティーヴン・ハウ

香港フィルの2000-2003年音楽監督、2003-2005年主席指揮者をつとめたサミュエル・ウォンにとってこの演奏会が今夜が最後の演奏会。この世界ってタイトルが無くなると、かつて自分がシェフだったオケはまず振らないですよね。これって不文律でもあるのでしょうか?ぼくとしては香港に来て最初に香港フィルの演奏会を聴いたのが、このサミュエル・ウォン指揮の1997年ニューイヤーコンサート、その後ひょんな事から意気投合して彼が香港フィルを振りに来るたびにリハ聴きに行ったり、食事をしたり、また香港在住日本人向けの週刊香港に彼と一緒に連載を書いていたこともあったりと、とても彼とは親しかったので、今回の演奏会はちょっと個人的に感慨深いものでした。彼の前任者アサートンから香港フィルを引き継いだ後、プログラムも演奏能力も飛躍的にレベルアップしたのですが、その背景では世界的な有力経済紙FINANCIAL TIMESが「暗黒時代」とコメントほど、香港フィルのメンバーにとっては、サミュエルが音楽監督最初のシーズン直後は戦々恐々な事がありました。実はメンバー全員に課題曲を与え、サミュエルが要求する演奏技術に満たないメンバーは解雇する、といった荒治療に出たのです。結果的には(多分)14名の演奏家が解雇されました。このことは香港の新聞でも大きく取り上げられたのですが、当人のサミュエルは全く臆せず「素晴らしい音楽をみなさんに提供するのは音楽監督として当然の責務。メンバーの音楽に対する責任は音楽監督の責任」とコメントしていました。おかげで飛躍的に演奏能力は高まりました。しかしぬるま湯につかっていたメンバーとしてはたまらなかったことでしょうね。(でもこの事{課題曲を与えて、楽員のレイオフを行うこと}は2000年のシーズンが終わった直後だけ行われ、2001年のシーズン以降は無くなりました。)

さてさてサミュエルの話が長くなりましたが、さてさて演奏会について。ピアニストのスティーヴン・ハウは昨年ダラスsoと録音したラフマニノフのピアノ協奏曲全集で大きな評価を得たとのことは雑誌などで知っていましたが、音を聞くのは今回が初めて。いやぁ、上品ないい音ですね。とりわけ弱音が魅力的。モーツァルトの21番ではオケの音を控え目にして、ピアノの音色を見事に引き立ててくれた。まるでささやいているようなハウのピアノ、味わいがありました。香港フィルに来る前にマレーシア・フィルでブラームスのピアノ第2協奏曲演奏したそうですが、これからも聴きてみたいピアニストですね。おっとフンメルの事を書き忘れていました。ぼくはなんかどうも作品自体が好きじゃなかった。言葉悪いけどシューマンの出来損ない(といってもシューマンの方がフンメルよりかなり後に生まれていますが)みたいで。

で最初と最後のベートーヴェン。どういうわけか香港フィルってベートーヴェン、結構上手く弾くんですよ、不思議だけど。最後のレオノーレ、じっくりと聴かせてくれましたね、渋かった。ぼくにはバーンスタインの1985年広島平和コンサートでの演奏が頭に刷り込まれているので、どうしてもレニーの演奏を思い出してしまうけど、サミュエルのレオノーレも素晴らしかったな。そういえばサミュエルはかつてニューヨークフィルの副指揮者、ニューヨークフィルを初めて振ったのはレニーの代役、そして2000年の香港フィルの音楽監督就任最初の曲はキャンディード。レニーが何か特別な機会のコンサートでよく選ぶのがレオノーレ序曲。なにか因縁めいたモノを感じました。

改めてサミュエルのことですが、2000-2005年では短すぎる任期でした。しかしNAXOSに2種類のCD録音を果たし、2003年にはヨーロッパツアーも行いました。まさに「みじかくも美しく燃え」た彼の任期でした。主席指揮者のポストから離れたものの、サミュエルは2006/2007のシーズンまで香港フィルを振る予定があります。そして日本のみなさんにはちょっと朗報。来秋にサミュエルは昨年に続いて名古屋フィルを振る予定です。機会があれば是非お聞きください。

週末には2005/2006シーズンのプログラム発表が行われます。詳細またお知らせしますので、ご期待ください。

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ショスタコヴィッチ; 祝典序曲、ヴァイオリン協奏曲1番
ストラヴィンスキー; ペトルーシュカ(1947年版)
指揮; サミュエル・ウォン
ヴァイオリン; サラ・チャン

ほぼ2ヶ月ぶりの香港フィル。前回のデ・ワールトのコンサートから何回かコンサートはあったのですが、行けずじまいだったこと(サミュエル・ウォンの分)、そして指揮者が好きじゃないので行かなかった(デヴィッド・アサートンの分)ことから、久々のコンサートとなりました。とにかく大ヒット、というか特大ホームランの演奏会でした。なんといってもサラ・チャンにはビックリ!彼女の演奏は画像にあるチャイコのVnしか聴いたことがなかったし、このジャケットのイメージと録音からそつなく演奏をこなすだろうと勝手な先入観で演奏会を聴きに行ったのですが、見事に裏切られました!

作品が作品(ショスタコのVn協1番)だけに音楽にのめり込む度合いは強くなりがちですが、サラの没入ぶりは尋常じゃなかったです。この若さでそんなに思い詰めてどないするねん、とツイツイ心配しちゃうほど。物凄い緊張感が張りつめていてて、ぼくのサラ・チャンへのイメージはことごとく消え去ってしまいました。今までおそらく何度か香港で彼女の演奏会があったはずですが、まったく気にしていなかったのが心惜しく感じました。彼女の音色はいわゆる「美音」系ではないし、時には厳しい形相で(大阪弁で言うと少々エゲツない表情で)演奏するし、難しいパッセージを弾き終えると、ビュン!と刀で人を切ったあとのように弓を振り回すし、勢い余って足をドンドンと踏みならすような演奏ですが、そこがかえって彼女の人間味を感じました。そう、バーンスタインがヴァイオリニストだったらこんなんだろうな、って感じ。そういえば以前竹澤恭子が香港フィルとの共演でこれまたショスタコの同じVn1番を7年前に演奏したけど、これも凄かった。竹澤といい、今回のサラといい、アジア系の女流ヴァイオリニスト、しかもちょっとビジュアル系でないタイプ(すんません・・・、でもぼくの経験値から)には注目です。

ところで竹澤恭子、7月にはこんなところでブラームスのヴァオリンコンチェルトを弾いています。

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Battenさん、お誕生日おめでとうございます!

だって、自己満足。4/12は誕生日でごじゃる。あーあ、42歳。

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J. C. バッハ; 6つの交響曲 op.6より第6曲
モーツァルト; 協奏交響曲 K.297b
ハイドン; Sym.92 オックスフォード
指揮; エド・デ・ワールト
独奏;香港フィル主席管楽奏者達

1月のサロメ公演より久々のエド・デ・ワールト登場。先週はちょっと演奏会場が遠かったこと、ぼくが風邪ひいてダウンんだったので、彼のエロイカ(ベートーヴェン)は聴けずじまい、ちょっと残念。今日のプログラム、香港フィルがもっとも不得意と(僕は)思われる古典派モノ。アンサンブルを丁寧にし、お互いがよく聴きあって、バランスを整えないと、この手の作品は破綻しちゃうんだけど、香港フィルはそれがだめ。オケとしては基本中の基本だとは思うんですがね・・・。だから結構不安な気持ちでホールに向かいました。

大バッハの末っ子(バッハって何人子供いたっけ?)クリスチャン・バッハのぼくは聴いたこともない交響曲。そして聞き終えて旋律の一つも残らないそんな曲でした。

そしてモーツァルトの協奏交響曲。ヴァイオリンとヴィオラの方の協奏交響曲はよく聴くけど、管楽の方はほとんど聴いていないし、ナマ演奏では初めて。んーいい曲ですね、さすがにこれは。とりわけオーボエとクラリネットの使い方、楽器の魂とか味わいがストレートに伝わってくるような音色。モーツァルトの手にかかると、なぜこれほどまでに素敵な作品になるんだろう、と今更ながら感心しました。我が香港フィルの主席達、素晴らしい演奏を聴かせてくれました。ちなみにオーボエは中国人、クラリネットはアメリカ人、ファゴットは香港人、ホルンはイギリス人です。なおコンマスは韓国人、指揮者デ・ワールトはご存じオランダ人。バックをつとめる香港フィルが見事なサポートでした。4人のソリスト達を引き立てるために、さりげなく寄り添うような演奏。とってもブラボーでしたね。

最後はハイドンのオックスフォード。この曲は10数年前にチェリビダッケとミュンヘンフィルとの演奏を大阪で聴いて以来です。4楽章のプレストを本当にニコニコしながら、チェリが指揮していたのが、とにかく強烈な印象。何かお爺ちゃんが孫に昔話を聞かせる、そんな雰囲気。もちろんチェリの演奏と比べるわけにはいかないけど、香港フィルとの演奏はどうだろかと思っていましたが、実に丁寧に緩急をつけ、小気味のいいテンポで聴かせてくれました。最初不安に思っていたようなバランスの悪さとかアンサンブルの緩みなどはほとんど感じられず、作品に集中することが出来ました。4楽章以外は指揮棒を持たずに指揮したのも、他ならぬデ・ワールトが問題点を十分把握していたからでしょうね。

聞き終えて改めて感じたのは、デ・ワールトって指揮者はやはり相当の実力があるんだな、っと。サロメ以来、何度か他の指揮者による香港フィルの演奏とは明らかに異なりました。これからもバシバシとしごいて、もっともっとレベルアップをしてくれれば、と思うばかりです。

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メシアン; アセンシオン(キリストの昇天)
モーツアルト; レクイエム
指揮; マンフレッド・ホーネック
合唱; グルベンキアン合唱団
朗読; デヴィッド・タン
ソロイスト; Antoninette Halloran(S) Fiona Cambell(MS) Paul McMahon (T) Brian Montgomery (B)

通常聞かれるモーツァルトのレクイエムとは今回の演奏は全く異なっています(太字部分がモーツァルトのレクイエム)。

グレゴリオ聖歌
モーツァルトが父レオポルドに宛てた手紙(朗読)
グレゴリオ聖歌
フリーメイソンの葬送音楽 K.477
晩祷(ヴェスペレ) K.339
グレゴリオ聖歌
ネリーザックスの詩より(朗読)
第1曲:「入祭唱Introitus」
第2曲:「あわれみの賛歌Kyrie」

ヨハネの黙示録より6章8-17節(朗読)
第3曲:「続唱Sequentia」
Dies irae怒りの日
Tuba mirumラッパは不思議な音を
Rex tremendae恐ろしい王よ
Recordare思い起して下さい
Confutatis呪われた者は
Lacrimosa涙の日

ヨハネの黙示録より21章1-7節(朗読)
第4曲:「奉納唱Offertorium」
Domine Iesu Christe 主イエズス・キリストよ
Hostias et preces いけにえと祈りを
第3曲:「続唱Sequentia」よりLacrimosa涙の日(8小節のみ)

アヴェヴェルムコルプス K.618

(演奏されず)
第5曲:「感謝の賛歌Sanctus」
第6曲:「感謝の賛歌Benedictus」
第7曲:「平和の賛歌Agnus Dei」 
第8曲:「拝領唱Communio」 「永遠の光Lux aeterna」




指揮者が登場すると厳かに鐘がなり、舞台裏からグレゴリオ聖歌が聞こえてくる。そして朗読やモーツアルトの別の作品が奏でられようやくレクイエムが。しかし全曲通して演奏されるのでは無く、聖書の朗読が入る。

朗読をしたデヴィッド・タンは上海灘や会員制レストランを手がけたビジネスマンなんですが、とても抑揚の効いた語りは、そこいらの俳優でもなかなか出来ないような巧さでした。音楽だけに没頭したいのに、なんて野暮な考えはこの演奏会を聴いた人にはおそらくいないはず。とにかく感動的でした。ひとえにモーツァルトの作品の凄さ。そしてこの日のプログラムの配置の巧みさ。フリーメーソンの葬送音楽をまず演奏、終わりはLacrimosaの断片のあとにをアヴェ・ヴェルム・コルプス。pppppな出だしで殆ど聞こえない位の音でオケと合唱が演奏を始める。もっともモーツァルトの音楽で美しい作品と言われているアヴェ・ヴェルム・コルプスで最後を締め、再び荘厳な鐘の音で演奏会は終了した。

このレクイエムの作品のバックグランドを知っている方には、Lacrimosaを最初の8小節だけで中断してしまうか、第5曲以降が演奏されなかったかお分かりでしょうね?モーツァルトはLacrimosaの最初の8小節までを遺して、この世を去ったのです。そして第5曲以降はジェスマイヤーが作曲されて完成されたもの(第4曲の「奉納唱Offertorium」は断片やスケッチを元にジェスマイヤー補筆されたらしい)。

見知らぬ男から依頼されたレクイエムの作曲、それが自らの鎮魂歌として作曲する心境におそらくモーツァルトはあったのと思います。そうでなければ、このような心の奥底をえぐり出すようなレクイエムをモーツァルトは作曲しなかったはず。死に対する不安と恐怖、本来心安らかに死者を弔う音楽を作曲するはずなのに、自分の心境を吐露しているような作品になってしまっています。ミューズの使いとして彼はこの世に現れてきたけど、モーツァルトも所詮はやはり生身の人間だったのだ、と、この作品を聴くと実感します。

CDで聴くレクイエム、作品の完成度からいくとムーティ&ベルリンフィルがダントツ。指揮者もソロもオケも合唱団もとんでもないほど素晴らしい出来映え。聞いた話ではムーティはこの録音に大変満足して「おそらく今後モツレクは録音しないだろう」と語ったとか。しかしぼくはやはりバーンスタインとバイエルン放響だな。この演奏は明らかに常軌を逸した演奏。レニーの亡き妻フェリシア・モンテアレグレ(このジャケットに載っている彼女)の没後10年追悼コンサートの録音がこれだから(DVDも出ています)。

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R.シュトラウス; 「サロメ」 演奏会形式(全曲)
指揮; エド・デ・ワールト
サロメ;スーザン・ブロック ヘロデ王;クリス・メリット ヘロディアス;バーナデッテ・クーレン ヨカナーン;ジョン・ブレッシェラー

演奏会形式のオペラを聴くのは今回初めて。おまけにサロメは休憩無しのぶっ通し2時間以上なので、退屈になるんじゃないかな、と思ったらなんのなんの。あっという間の演奏でした。以前マリア・ユーイングがサロメを演じた舞台を香港で見ましたが(ロスアンゼルス・オペラ)、その時はとにかくユーイングの迫真の演技で圧倒されましたわ。

今回の演奏会形式は演技らしい演技が殆ど無いので(せいぜい舞台を歩いたり走ったりする程度、7つのベールの踊りも無し)、音楽やテキストのみで演奏を実感することとなりますが、いやぁ今回も圧倒されましたね。とにかく凄い作品であることを実感しました。

欲しいものは何でも手に入れられた甘えたで世間知らずの小娘が初めて知った愛。苦労知らずだから、愛のつかみ方がわかんない。キスしたいのだけど、yesって言わないから、もういいから彼の首持ってきて!なんて最近の短絡的な事件とよく似ている。おまけに実の母と義理の父はそんな娘に手を焼いていて、夫婦喧嘩。叱り方もわからず、挙げ句の果てには義理の父は今で言う所の嘱託殺人で娘を殺す。なんか現在の家庭崩壊像を見るようでしたね。

オペラだから勿論舞台で見るべきかも知れないけど、こうやって演奏会形式でやると、より内容が深く知ることができるな、と実感しました。来年はどうやらまた演奏会形式でシュトラウスの作品を、そして今度は「エレクトラ」を演奏するとか。またドロドロ系ですな・・・。

ところですでにご存じだと思いますが、エド・デ・ワールトが6月に読響を指揮します。そして11月はさまよえるオランダ人を読響&二期会で上演します(舞台形式ですよ、勿論)。

6月18日18:00/サントリーホール
6月19日14:00/東京芸術劇場
(曲目)
R・シュトラウス:ドン・ファン
R・シュトラウス:ヴァイオリン協奏曲(VN/渡辺玲子)
ラフマニノフ:交響曲第3番

6月25日18:00/サントリーホール
(曲目)
ワーグナー:さまよえるオランダ人、序曲(第1稿)
ワーグナー:ジークフリート牧歌
ワーグナー:ニーベルンクの指環(管弦楽版)


11月2日・3日・5日・6日/東京文化会館大ホール
(曲目)
ワーグナー:さまよえるオランダ人(全曲)
演出・舞台美術:渡辺 和子

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シュトラウス・ファミリー; ワルツ・ポルカ・マーチなど色々
レハール; 「メリー・ウイドー」より
R.シュトラウス; 「薔薇の騎士」組曲、「サロメ」から7つのベールの踊り
指揮; エド・デ・ワールト
ソプラノ; アメリア・ファルージア

ずばりプログラムはニューイヤーコンサート、しかもR.シュトラウスのおまけ付き。演奏はやはり本場ウィーン・フィルと較べるまでもないけども、まぁ正月だし楽しく聴きましょう、ってとこですか。ウィーンではマゼールがスマトラ沖津波の被災者追悼のため、ラデッキーマーチを外したそうですが、香港ではばっちり演奏しました。しかも2回!最初は手拍子があまり揃わなかったのですが、2回目の演奏ではデ・ワールトの緻密な指揮で、観客の手拍子が強弱・緩急に富んだ見事なアンサンブルの演奏(?)となりました。

ニューイヤーには少々場違いなサロメ、実は1月末にコンサート形式でサロメ全曲を演奏するのですが、それに先駆けて、「7つのベールの踊り」が元々のプログラムにはなかったものの、演奏されました。実に濃厚で陰影に富んだ演奏でした。

12月にはデ・ワールト家族も無事香港に引越が完了し、これから名実共にデ・ワールト&香港フィルの時代が始まります、ワクワク。

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