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だらだら思いつくままに香港フィルのコンサートの感想を書いています
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1996年より香港在住です
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オペラを作曲完成しなかったマーラーですが、彼の完成されたオペラの楽譜が
発見されたと、香港のSOUTH CHINA EVENING POSTで掲載されました。
マーラーのこのオペラ作品が見つかるまでには次のような経緯を経たそうです。
(下記紙面よりぼくが雑に抄訳)

1865年3月にユダヤ系イギリス人のアーサー・サッスーン卿が
香港上海銀行(現HSBC)を創設したが、同行の創設45周年(1910年)の
記念セレモニーのために、オペラの作曲を1907年にニューヨークの
メトロポリタン劇場にマーラーが招かれた際にサッスーン卿自らが
ニューヨークで直接マーラーに委嘱した。
ベートゲの「中国の笛」に出会ったことで、後年マーラーは「大地の歌」を
作曲した事は知られているが、実はサッスーン卿のオペラ作曲依頼が
きっかけであることがオペラ作品「GOLDENE GLOCKE(金鐘)」の楽譜と
共に発見されたマーラーとサッスーン卿との往復書簡の内容調査によって
今回明らかになった。

書簡の内容によると、マーラーはこれまで自身が感じ取ったことを
自分の意志で作曲するのを旨とし、委嘱されて作曲することは本意ではない、
と語っていたが、サッスーン卿が東洋芸術の素晴らしさについて
マーラーに伝え、またマーラーはサッスーン卿から紹介された
このベートゲの作品と知り合うことで、東洋への関心をマーラーは
深めていった。さらにサッスーン卿が中国に残る様々な昔話をマーラーに
紹介することで、マーラー自身なりの東洋観が確立したことで、オペラ作曲に
取りかかった。音階が異なるさまざまな中国の鐘を作品に取り入れたため、
マーラーのとしては珍しく、約1年半を要して作品を完成した。

何故100年以上もこの作品が発見されなかったのか?という謎ですが、
新聞によるとマーラーが作曲を完成した後、サッスーン卿に対して、
「やはり作曲は自身の意志で作るもので、委嘱という形は受け入れがたい。
しかしながら東洋芸術にふれるきっかけを与えてくれたサッスーン卿には
敬意を払うということで、完成した作品は差し上げます。」と書簡で
語っているそうです。

委嘱料を受け取ることをマーラーが断ったこと、生前マーラーは一度も
この作品を取り上げなかったこと、そして何といっても、マーラー自身の意志を
尊重するということで、サッスーン卿は香港上海銀行の創設45周年記念の
セレモニーの際にこの作品を明らかにすることはありませんでした。
またサッスーン卿は自分の家族にも銀行関係者にも、マーラーの作品についての
話は一切していませんでした。

今回漸く発見された経緯についてですが、サッスーン卿は香港の歴史上では
アヘン戦争の裏の立役者である「阿片王」 デヴィッド・サッスーンの五男で
あることから、香港の歴史では恥ずべき存在のため、表舞台には出にくかった
事情があったようですし、何よりも家族ですらこの事実を知らなかったため、
楽譜の存在は誰も気がつかなかったそうです。
今回楽譜が発見されたのは、サッスーン卿の末裔が書庫の整理していた際に
偶然発見したそうです。

ストーリーは炮台山の北角に住む航海・漁業の守護神である主人公の
”天后”(ソプラノ)が、魔法の金鐘を使ってさまざまな奇跡を起こし、
悪を倒すといったラブロマンス作品。
登場人物は天后の他に正義感あふれる太子(テノール)、太子の恋敵で海賊の
”将軍オー”(バリトン)、ユニコーンにも似た架空の動物の牛頭角(バス)、
青衣にまとった謎の女性(アルト)など。
マーラーの作品としては珍しく小規模な2管編成の全2幕。

この「金鐘」では中国の太古の銅鑼や梵鐘、号鐘などさまざまな鐘が
使われます。委嘱される2年前にマーラーが作曲した交響曲7番で
カウベルを効果的に使った作風と似ているとの事です。

このオペラ「金鐘」ですが、香港フィルで上演することが決定しました。
同フィルの音楽監督をつとめるエド・デ・ワールトはこの作品について
次のようなコメントを出しています。

「私が幼い頃、故郷のアムステルダムではメンゲルベルグが
マーラーの作品を何度となく取り上げていましたし、
1920年(私が生まれる前ですが)にはマーラー音楽祭を開催し、
マーラーの作品全曲をアムステルダムで演奏をしました。
今回アムステルダムで生まれ育った私がマーラーのオペラ「金鐘」を
初演することとなりました。当時マーラーの数少ない理解者であった
メンゲルベルグがどこか私にこの任を託してくれたような感覚を覚えます。
私が香港フィルの音楽監督をつとめていることと、マーラーのオペラ作品の
発見は何か運命めいたものを感じます。」

Wikipediaによるとマーラーは次のオペラを作曲していたそうです。
「アルゴー号の勇士たち」(未完成、散逸)
「リーベツァール」(未完成、散逸)
「シュヴァーベン公エルンスト」(破棄)

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ウェーベルン; パッサカリア
マーラー; Sym.10アダージョ
R.シュトラウス; ツァラトゥストラはかく語りき
指揮; デヴィッド・ジンマン

2008/2009シーズンの客演指揮者の中で最も注目していたのがこのジンマン。
期待を大きく超えるすばらしい演奏会でした。
冒頭のパッサカリアは何度聴いてもぼくには難解なんですが、
ジンマンの演奏を聴いていると、「何かを掴む」というより
「何かを感じる」ってことが、この作品には大事なことなのかな?と思いました。
それにしてもどうも難解だ。
続いてマーラー、この演奏には本当に感銘を受けました。なんと浄化された響き
なんでしょうか、ジンマンのマーラーは。
ジンマンと同じアメリカ人であるバーンスタイン(ユダヤ人ではあるけど)の
マーラーとは対極的とも言える。フレーズのコントラストの付け方や、
積み上げ方が実に素晴らしい。
それでいて決して無機質では無く、どこかあたたかみすら感じる。聴きながら
思ったのですが、指揮者だから勿論当然なんですが、恐ろしいほどジンマンは
耳が良いのでは?耳の良さはメインプロの「ツァラトゥストラはかく語りき」でも
発揮されていました。演奏の仕方によってはそれこそドンチャン騒ぎみたいな
出来にもなりかねないこの作品ですが、ジンマンはシュトラウスの複雑な楽器や
旋律のバランスを実に見事に纏め上げていた。
ジンマンの要求に応えたHKPOも素晴らしい。とりわけヴィオラ、コントラバス、
木管は出色の演奏。HKPOを振る前にジンマンはN響と共演していて、
全く同じプログラムを演奏したのですが、N響はどんな演奏をしたのでしょうかね?

ジンマンについて注目しだしたのは、1998年まで音楽監督を務めていた
バルティモア交響楽団との名演奏を聴いてから。そしてぼくがこのコンビで
一番好きな録音はマーラーSym.6。



これはバルティモアSOの自主制作CDでリリースされていたのですが、
現在は発売されていません。

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ベートーヴェン: 「コリオラン」序曲、ピアノ協奏曲第3番
マーラー: 交響曲第5番
指揮: エド・デ・ワールト
ピアノ: サ・チェン

中国の広州・上海・北京での公演に先立ち、香港でプレコンサートとなった
今日のコンサート。冒頭のコリオラン序曲、重い、重い!どっしり重厚な
コリオランでした。なんか往年の指揮者が奏でるようなベートーヴェン。
エドはHKPOの音楽監督になってから、何度と無く楽器の配置を
変えてきたけど、今回は1stヴァイオリンの横が2ndヴァイオリン、
中央にチェロ、右翼にヴィオラ、ヴィオラの後部にコントラバス。
テンパニーがチェロとヴィオラのすぐ後ろ(管楽器勢よりも手前)という陣営。
チェロやコントラバスがとてもはっきり聞こえる配置なので、
作品全体がとても厚味のある響きとなった。またテンパニーをかなり前に
置いているので、要所要所がとてもしっかり固まる。
2曲目のピアノ協奏曲第3番、ピアノ演奏したサ・チェンがあまりに凡庸でがっかり。
中国ツアーの共演ピアニストなんだけど、いくら中国人を起用したいとは言え、
この程度のピアニストなら、広大な中国なら、もっと優秀な演奏家は
いくらでもいるだろうに、と思いました。オケも何故か凡庸なピアノに
引きずられて、コリオランの時に聴かれた”まさしくベートーヴェン!って
音楽は全然感じられませんでした、残念。
メインのマーラーSym.5。エドの演奏で何回か聴いたと思うけど、
もう彼にとってはマーラーSym.5はまさに薬籠中の作品って感じで、
何の心配もしないで安心して聴ける、という演奏でした。
HKPOもばっちりでした。とりわけ3楽章以降はエドとマーラーと
HKPOが完全に一体となっていたなぁ。

中国公演を終えた後の次の公演はデヴィッド・ジンマンのマーラーSym.10-Adagioや
ツァラトストラなど期待が高まる演奏会が控えています。

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ブラームス; ピアノ協奏曲第1番
バッハ(エルガー編); 幻想曲とフーガ
ショスタコヴィッチ; 交響曲第6番
指揮; マーク・エルダー
ピアノ; スティーブン・ハウ

かなり重量級で意欲的なプログラムでしょ。その期待を全く裏切らない演奏でした。
1曲目のブラームス、ハウのまさしく凛とした演奏には驚かされました。
ただただブラームスを奏でる、そうすれば自然と素晴らしい音楽が体験できる、
そういう当たり前でいながら、実はこれがとても難しい。いたずらに技巧を
ひけらかしたり、テンポをゆらしたりして、観衆を引きつけようとしがちな
演奏が多い中、ハウの無骨なまでに”唯、音楽に委ねる”という演奏には
大きな感銘を受けました。
エルガー編のバッハ、エルガーも指揮者のエルダー(紛らわしい名前だなぁ)共に
イギリス人なので、イングリッシュトーンではあるけども、6月に聞いた
シェーンベルグ編のバッハ(原曲は異なりますが)とは違い、バッハらしさを
しっかり残してオーケストレーションされた素敵な作品。
バッハが現代のオーケストレーションを駆使して作曲したらおそらく
こんな作品を作ったのかな、と思いながら演奏を楽しみました。
メインプロのショスタコヴィッチ、緊張感と開放感が見事にコントロールされた
素晴らしい演奏でした。SJB(サー・ジョン・バルビローリ)のハレ管弦楽団が
SJB亡き後に低迷が続き、一時は存続の危機までに陥ったのですが、
マーク・エルダーがオケのシェフになってから、再び栄光の時代が復活しました。
何故再復活したのか、このコンサートを聴いてその理由が理解できました。
オケを活かすのも殺すのもやはりシェフ次第ですね。数年前にSJBのマダムと
ロンドンでお会いした時に「マーク・エルダーは今一番イギリスで
素晴らしい指揮者だから、必ず注目しておいてね」と言われたのですが、
このコンサートを聞きながら、ふとそのことを思い出して頷いてしまいました。

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マーラー; 交響曲第9番
指揮;エド・デ・ワールト

演奏を聴いたぼくの印象を先に述べたいと思います、”大きな落胆”。
大きな破綻もなく、難しい箇所もプレーヤーたちは見事に演奏していましたが、
全体を通して音楽への根本的な心構えというものが欠けていたと感じました。
それはメンバーが一丸となって音楽に真摯に取り組む、という基本的な姿勢が
どこか欠如している、そう感じました。
楽器の各パートが別のパートを聴き合って演奏しているとはとても思えず、
なんとか旋律をなぞることに汲々としているよう。HKPOがこの作品を
演奏するのはまだ早過ぎたのでは?
10数年前のHKPOとは格段の飛躍を遂げているけど、相変わらず改善されないのは
冒頭にも書いたような音楽への真摯さ、そしてヴァイオリンパート(特に2nd陣)の
レベルの低さ。エドは通常のオケ配置を変更し、左手手前の1stヴァイオリン、
中央にVc、右手手前をヴィオラという形へ、1楽章の鐘をゴング(音程のある銅鑼)に
変えるなど、音色へのこだわりをみせていましたが、指揮やリズムの切れ味は
何かいまひとつ。体調が悪かったのかな?それともHKPOの演奏能力にあった演奏に
徹したのか、いつもの感動が正直全く無かったです。
かなり手厳しいコメントになってしまいましたが、何しろこの作品は大変に
難しい作品ですから、よほどのレベルじゃないと作り上げることは困難でしょうし、
マーラー9番の素晴らしい演奏会に出会うこともあまりないです。

チェリビダッケがかつてマーラー9番をシュトゥットガルト放送交響楽団と
演奏を予定しながらキャンセルをしたことがありました。
一部ではチェリが暗譜出来なかった、というようなとんでもない話が出回って
いましたが、ぼくの知り合い(指揮者)がシュトゥットガルト放送交響楽団の
楽員にキャンセルの理由を尋ねたところ、チェリビダッケはこうオケに
言ったそうです。「このマーラーの偉大な作品を正確に演奏出来るオーケストラは
世界中探しても無い」と。
彼のコメントが果たして正しいかどうかは別として、チェリが楽譜を通じて
読み取ったものが、そうであったのでしょう。

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R.シュトラウス カプリッチオ”6重奏”
サンサーンス ピアノ協奏曲第2番
R.シュトラウス アルプス交響曲
指揮:エド・デ・ワールト
ピアノ:コーリン・リー


10月の篠崎さん指揮による代打逆転満塁ホームラン演奏から1ヶ月ぶりのコンサート。
なお香港フィルはお休みだったわけではなく、その間ブロードウェイものやら、
ヨーヨーマやスミ・ヨーのようなビッグソリストを迎えたコンサートやら、
アサートン指揮のグレツキの”嘆きのシンフォニー”やら色々やっていたのですが、
いずれもskip。
で久々に聴きにいったコンサートはR.シュトラウスの大作”アルプス交響曲”。
オケだけで120名もの大編成で演奏される作品なので、香港の芸大ともいえる
Hong Kong Academy for Performing Arts(HKAPA)から約50名もの学生が
エキストラで出演。
最初のカプリッチオ”6重奏”はオペラ”カプリッチオ”の冒頭で演奏される前奏曲の
ような作品。作曲したのが1941年で第二次大戦真っ直中の時ですが、
一体こんな落ち着いたノーブルな作品をシュトラウスは作曲したのかな?と
いつ聴いてもそう感じます。
時期が時期だからむしろ作曲家・指揮者シュトラウスにとって、この時勢に
有るべき姿を見つめ直した結果、このような作品を作ることになったのでは?と
勝手に想像してしまう。
6重奏のメンバーはコンマスとVcの首席の2人、そしてHKPOの研修生として
メンバーに入っている4人、という編成。研修生たち(4人の他に数名います)は
1年間のシーズンを終えた後、数名だけが来シーズンには正式メンバーとなります。
目を閉じて聴いていたら、とても研修生が入っているとは思えない位しっかりと
HKPO色(エド色)に溢れた演奏でした。この曲では指揮をしないエド、
客席で6重奏を聴いていました。
次のサン・サーンスのピアノ協奏曲第2番。これはつまんない演奏でした。
コーリン・リーは2005年ショパンコンクールで6位入賞したHKAPA出身の
ピアニスト(この年のショパンコンクール優勝者はブレハッチ)。
大きな破綻も無いかわりに、何も感じられないピアノでした。オケとピアノとの
掛け合いという場面もなく、ただただ演奏が進んだ、そんな感じでした。
さてメインのアルプス交響曲、ぼくは生でこの曲を聴くのは実は初めて。
随分昔にカラヤンがこの曲を録音した当時、かなり話題になりましたが、改めて
カラヤンの演奏をCDやDVDで聴いてみると、確かに見事な構成美ではあるものの、
どこか観光バスでアルプス見学をしているような印象。ちなみにぼくが好きな録音は、
コシュラー&チェコpoとコルド&ワルシャワpo。一方かなりずっこけ録音では
Choo Hoey&シンガポールpoってCDもあります。
エドはミネソタso時代に録音をしていますが、盛り上げ方や細かいニュアンスが
エドの演奏は実に丁寧で、これもぼくはかなりお気に入りです。演奏会でも
それは十分発揮されていました。ただ冒頭からしばらくはやはりエキストラが
多いため、十分にHKPOの色が出し切れていない部分がありましたが、
頂上にて(Auf dem Gipfel)から俄然音色がエド色に変化!
そこから夜(Nacht)まではまさしくHKPOとエドの”アルプス交響曲”でした。

来年エドはこの曲をNHK交響楽団と演奏しますが、果たしてこれほどの
素晴らしい演奏をN響は奏でてくれるでしょうか?
さて来週はいよいよマーラーの交響曲9番。オランダ放送poとの素晴らしい録音を
彷彿させる演奏に期待が高まります。

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ドヴォルザーク; 「チェコ組曲」より”ポルカ”
ラフマニノフ; ピアノ協奏曲第2番
ドヴォルザーク; 交響曲第7番
指揮; 篠崎靖男
ピアノ; ジョン・チェン

前回ヴィエラ先生(マカール)がドクターストップでHKPOを振れなくなったことを
書きましたけど、代役で振られた篠崎靖男さん、ずばり期待以上というより、
まさに代打逆転満塁ホームランの演奏でした。
最初の曲のポルカ、これは”のだめカンタービレ”を見た方なら誰でも知っている
いわばヴィエラ先生のライトモチーフ(?)。出だしの旋律ではちょっと
危なっかしいとこがあったけど、あとはちゃんと体制を整え直してホッ。
ラフマニノフを弾いたジョン・チェンは今年22歳のシドニーピアノコンクールに
入賞したマレーシア生まれでオーストラリア育ちの新鋭ピアニスト。
若気の至り、って演奏は微塵もなく、とても丁寧な音楽作りで好感がもてた。
丁寧だから小振りな演奏では決して無く、よくコントロールされたダイナミックさは
さすが素晴らしいピアニストを輩出しているシドニーピアノコンクールの
入賞者だけあります。しかし・・・これはピアノの調律師の責任だと思われるが、
高音の音の響きがどうもおかしい。スタインウエイとはとても思えないような
音色には少々消化不良気味。さて通称ドヴォ7、これはとにかく素晴らしかった。
ドヴォルザークの後期のシンフォニーの中でも8番や9番とは違い、何かメラメラと
燃えるような情熱をぼくはいつも感じますが、篠崎さんの演奏はそのメラメラが
実にダイナミックな炎となっていた。とりわけ1楽章や終楽章、ドヴォルザークの
作品がこれほどダイナミックで壮大なものだったのか!と再認識をさせて
くれるものだった。力強さといっても、ねじ伏せてごり押しをするような
粗野な部分は全くなく、音色や旋律、バランスを非常によく作り込んで
出来上がった建造物のような音楽。ピンチヒッターで登場して、
よくここまで作り込んだ演奏が出来るものかと、篠崎さんの卓越した
トレーニング力には驚かせられました。
ちなみにもしヴィエラ先生が振っていたら、旋律のローカル色の強さは
感じられるものの、作品を客観的に捉えた上での再認識ということは
出来なかったのかもしれない、と聞き終わって強く感じた。

ところで篠崎さんの演奏はBBC MUSIC Magazineの先月号(9月号)のCD付録で
マーラーのリュッケルトリーダーが聴けますが、現在は今月号(10月号)が
出てしまっているので、少々入手困難かも。
今回の演奏会、本当に代打逆転満塁ホームランの演奏でした。
またHKPOを振ってもらいたい指揮者と同時に、これから超大注目すべき
指揮者だと思います。

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来週10/18&19に客演予定されていたヴィエラ先生ことズゼニェク・マカールが
ドクターストップで香港フィル客演がキャンセルになりました。
ピンチヒッターで指揮されるのは玉木宏! じゃなくてロンドン在住の篠崎靖男氏。
彼についてはぼくは名前だけしか知らないんだけど、意外とピンチヒッターが
大活躍するってこともあるし、日本人指揮者がHKPOを振るのは
尾高忠明さん以来なんで、素敵な演奏会を期待してます。



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ブリテン; 青少年のための管弦楽入門
チャイコフスキー; ロココの主題による変奏曲
チョウ・ウェンチュン(周文中); 風景
エルガー; ”謎Enigma”変奏曲
指揮; ポール・ダニエル
チェロ; トレイ・リー



コンサートでいきなりイヤなことが・・・。
演奏に先立ちなんと予告も無く義勇軍行進曲が。そう中国の国歌です。
この演奏会の数日前が国慶節、つまり中国の建国記念日だったんです。
今までいろんな演奏会にいきましたが、フルオーケストラで国歌を
聴いたのは今回が実は初めて。なんでそんな初体験(?)の相手が中国なの!と。
ただ不思議だったのはHKPOのメンバーが起立しないで演奏したこと。
本来国歌演奏の時、起立すると演奏が出来ない楽器奏者(例えばチェロとか)以外は
すべて立って演奏するのでは? そんなモヤモヤ感の中、演奏会はスタート。
しょっぱなの青少年のための管弦楽入門ですが、この作品に限らず
ブリテンの作品はどうもピンとこないので完全スルー。
続いてチャイコのロココヴァリエーション、この曲は数年前にヨーヨーマが
当時のHKPOの音楽監督サミュエル・ウォンとの共演で素晴らしい演奏を
聴かせてくれた思い出の曲。しかし・・・、チェロを弾いたトレイ・リー、
ちゃんと練習したのか?やる気あるのか?と腹がたつほどしょぼい演奏。
オケも彼の低レベルの音楽に引きずられたのか、全く覇気がない。
今夜の演奏会はハズレだな、といやな予感。こういう時こそ、
全く知らない作曲家や作品が一新してくれることがあります。
続いてはチョウ・ウェンチュン(周文中)の風景という作品。
ガクッ、10分程度の曲だけど、オケのチューニングみたいな曲で、
何も感じられない。あぁー前半終了、そして休憩。

もうこうなったらエニグマに賭けよう!エニグマ、これは素晴らしかった!
指揮するポール・ダニエルはNAXOSで色々録音していたので、
以前から気になっている指揮者だったんですが、veryイギリスの音を
奏でてくれますね。香港でエニグマを聴いているのに、なんかロンドンの
アルバートホールで聴いているような錯覚に陥りました。
香港文化中心って音が上に抜けちゃう感じがするんですが、
その感じがアルバートホールと似ている(ホールのデカさは全然違うけどね)。
バルビローリやC.ディヴィスなどが聴かせてくれるEnignaの香りを
ポール・ダニエルは聴かせてくれました。
そういえば前々任のHKPOの音楽監督のアサートン、イギリス人だったよね。
彼の演奏からは何故かイギリスっぽさが感じられない、なんでだろう???

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シューベルト; Sym.5
ブルックナー; Sym.7
指揮; エド・デ・ワールト

エドのブルックナー、香港フィルでの共演はもちろん、CDでも全くを
録音をしていないので、どんなブルックナーを聞かせてくれるのか、
2008/2009シーズンの発表の時からすごく期待していたコンサート。
とにかく素晴らしいの一言に尽きました!とりわけ2楽章の弦のアンサンブル、
香港フィルが香港フィルハーモニー四重奏団に変身しました。
1stと2ndのヴァイオリン、ヴィオラとチェロの見事なバランス、
ブルックナーを聴いてこれほど感動したのはチェリビダッケと
ミュンヘンフィルが大阪で演奏したブルックナーSym.8以来。
3楽章の出だしはちょっと1stヴァイオリンのアンサンブルが
危なっかしいとこがあったけど、コンマスのドライブですぐ持ち直し。
そして終楽章は大伽藍を垣間見るような壮麗な響き。
これこそブルックナー!を堪能しました。
終演後エドと観客のフリートーク。ブルックナーに対するエドの考え方や
ブルックナーの前にシューベルトを入れた理由などとても興味深い話ばかり。
ところでこのブルックナーのコンサートは香港で1回だけ。
香港フィルは通常同じプロを金曜と土曜の2回演奏するのですが、
今回は日曜の夜だけ。

日曜の夜に先立ち、中国の深センで金曜日コンサートがありました。
コンサートのポスターはこの画像の通り。



最初の話に戻りますが、エドとのフリートークの時、こんなお話が・・・。
「深センのホールの中はとても明る過ぎるし、音が横に散らばるような
アコースティックで演奏しにくかった」。そして「今夜のコンサートは
みんなとても静かに聴いていただいたが、深センではいびきが聞こえた」と。

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