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だらだら思いつくままに香港フィルのコンサートの感想を書いています
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男性
職業:
半導体商人
自己紹介:
1996年より香港在住です
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五嶋みどりさんは今回2年ぶりの香港フィルとの共演。香港公演に先立ち、みどりさんは「ミュージック・シェアリング」の活動で5月26日~6月7日、北は福島県郡山市、南は高知県四万十市まで、日本全国各地全17か所の学校やこども病院などを回るほか、東京と大阪ではICEPの活動報告コンサートを開催された。現在みどりさんが積極的に活動されている様々な文化活動についてまずうかがった。

*「ミュージック・シェアリング」について
特定非営利活動法人「ミュージック・シェアリング」(2002年設立)の前身は「みどり教育財団(Midori&Friends)東京オフィス」で、「Midori&Friends」は1992年にニューヨークで設立しました。Midori&Friendsを設立するきっかけとなったのは、80年代後半のアメリカで、政府が芸術一般に対する予算の削減を打ち出したことにより、当時住んでいたニューヨークの公立小学校では、音楽の授業が削られ、音楽業界でも話題になっていたのに、大人たちは話題にするだけで何の行動も起こさないことに単純に疑問を持ち、何かするという使命感のようなものを覚えたからです。私が個人的に学校を訪問して音楽教育のお手伝いをするというのでは、いろいろ制約や限界がありますし、活動内容をクラシック音楽や、ヴァイオリンに限りたくなかったので、財団を作り組織化しました。それが「Midori&Friends(みどり教育財団)」の始まりです。アメリカと日本は社会環境も教育制度も違いますから、日本では日本に合った独自のプログラムを実施していきたいと考え、 2002年に「ミュージック・シェアリング」を新たに立ち上げ、それまで「みどり教育財団」として行ってきた活動を引き継ぎ、さらに日本の事情に合わせた新たなプログラムを実施してきました。“訪問プログラム”では西洋音楽だけでなく、箏や笙の邦楽演奏家が子どもたちのもとを訪れ、お話や演奏体験を交えたコンサートを実施する会もあります。

*ICEPの活動について
「ICEP(インターナショナル・コミュニティー・エンゲージメント・プログラム)」では、世界中からオーディションで選ばれた若手音楽家と私が弦楽四重奏を組み、2006年からアジアの国々を訪れ、子どもたちに本物の音楽を届ける活動をしています。ベトナム、カンボジア、インドネシア、モンゴル、そして昨年12月にはラオスを訪問しました。ヴァイオリンなどの西洋の弦楽器を見たことも、演奏を聴いたこともない子どもたちが、私たちの演奏を見て、聴いて、自分たちの知らない世界があることに気づくことによって、好奇心を芽生えさせ、向上心を育むことを目的としています。また、この活動には、私と一緒にこの活動に参加する若手音楽家のコミュニティー・エンゲージメント活動のトレーニングというもう一つの目的もあります。なぜ日本のNPO法人がアジアの国々で活動を行うのかというと、経済的にアジアの発展に貢献してきた日本が文化面でも同じような役割を果たすべきだと思ったからです。そして、現地で経験したことを今度は日本に持ち帰り、日本の子どもたちに、現地の子どもたちの前でも演奏した音楽を聴いてもらい、私たち音楽家の口から直接、現地の同年代の子どもたちが置かれた環境や現状を語りかけると、日本の子どもたちは、異なるバックグラウンドを持つ他国の子どもたちがどのようにその音楽を享受したのか、と思いをはせることにつながります。こういった活動を通じて、現地の子どもたちの実情を日本の子どもたちや、また報告コンサートなどで一般の方々にもレポートすることが、国連ピース・メッセンジャーを務める私の役割でもあると思っています。 *国連ピース・メッセンジャーの活動について国連ピース・メッセンジャー(2007年9月23日、みどりさんは潘基文国連事務総長よりピース・メッセンジャーに任命)というのは、選ばれた者の各々の分野で、国連の活動や平和の問題などをアピールしていくことを求められています。国連から依頼された具体的な活動というものはなく、私が普段行っている活動を通して、一人でも多くの方に、国連の“ミレニアム・ゴール(ミレニアム開発目標)”に関心をもっていただき、世界の様々な問題に目を向けてもらえるよう努力するのが私に与えられたミッションです。

*様々な活動はそれぞれどのように関係していますか?
演奏活動、コミュニティー・エンゲージメント活動、大学での指導など、私の活動は全てつながっていて、同時にいくつものプロジェクトが進行しています。どれも私にとっては大切な活動です。演奏活動以外の活動を積極的に展開していることで、私はときどき「こうした活動が音楽にどういうふうに影響を与えていますか」という質問を受けることがありますが、音楽のために社会貢献活動をしているわけではなく、音楽活動のすべてが、知識も人の輪も広がる喜びにつながっています。コミュニティー・エンゲージメント活動や大学で学生と接することで、普段のコンサート活動では体験できない貴重な経験をたくさんさせていただいていると思っています。人々との出会いや触れ合いはとても刺激になりますし、それらの活動を通してインスピレーションが湧いたり、新しいアイディアが浮かんだりすることもあります。

*一見貧困ではないが、心や内面が貧困である事に対してのみどりさんの見解
貧困という問題に限りませんが、データだけでは判断できない、数字だけでは正しく判断できないことが多いと思います。ですから、自分の目で確かめることは非常に重要だと思っています。私が様々な活動を通じて学んだこと、肌身で感じたことを、できるだけ多くの方々に伝えて、問題意識を持っていただくことが大切なことだと思っています。

*香港ではみどりさんが行っている活動は行う予定はありますか?
ミュージック・シェアリングのICEPの訪問国は、理事会によって決められます。実は今年の12月に、バングラデシュを訪問する予定でしたが、地震もあり延期することになりました。それ以降の訪問国はまだ決まっていません。基本的にクラシック音楽に接する機会の少ない子どもたちのところへ本物の音楽を届ける活動ですので、東南アジアの国々で活動するケースがこれまでは多かったです。

*今回の2年ぶり香港での公演について 2年前の香港フィルとの共演以外にリサイタルや別のオーケストラとの香港公演などで、何度も香港で演奏会を行っていますが、今回の香港フィルの公演は共演する指揮者もホールも演奏する作品も全て異なるので、とても楽しみにしています。ただどういうわけか、香港を訪問するのはいつもとても暑い時期なのです・・・。

*みどりさんは料理が大変お好きだとお聞きしましたが、世界各地を公演されるにあたり健康面で特別に食事について
何か特別なことはされていますか?食事については、特にこれが食べたい、とか逆にこれは食べないといった特別なこだわりはありません。現在ロスアンジェルスに住んでいるのですが、そこでは様々な料理が食べることが出来、色々な料理を楽しんでいます。好きな味ということでしたら、辛い料理が好きですね。中華料理も大好きなのですが、中華と言っても本当に色々な地方の料理があって、それぞれが独自の味付けの仕方があって、時々迷ってしまうほどです。料理についてですが、スーパーなどで食材を買いに行く時は、予め何を作るからこの食材を買おう、というやり方はしないのです。スーパーに行ってみて、食材を見て料理を決めます。実は音楽家になってから、改めて大学に入ったのですが、入学の際にはこれを勉強しよう、とは決めていなかったのです。大学でのコースを色々受けてみて、それから自分の興味がある分野について勉強をすることにしました。健康面での食事については、やはりナマモノと飲料水については気を付けていますが、先程もお話した通り、それ以外は特別な事は行っていません。

*レコーディングについて
みなさんから「新譜はいつ出るのか?」とよく聞かれるのですが、今後の録音予定は特にありません。コンサートやお話をさせていただいた様々な活動のような「ライブ」の方が私は大好きで、レコーディングについては私としてはプライオリティーが低いです。録音についてですが、収録から編集を終えると私にとってはこれで終わったものとなります。自分の録音を改めて聴き直すということもありません。

*今後の香港公演について現時点では未定ですが、2~3年おきにオーケストラとの共演やリサイタルで香港を訪れているので、また近い将来香港に訪問できれば、と思っています。

演奏会後記
1985年8月の広島平和コンサートで初めてみどりさんの演奏を聴き(当時みどりさんは13歳、「そう言えば、あの演奏会の時も、とても暑かったですよね」~みどりさん談)、それ以来何度となく彼女の演奏に接する機会があったが、いつも彼女の音楽に対する並々ならぬ”突き詰め”に毎度圧倒されている。2年前の香港フィルとの公演(アサートン指揮ブラームスのヴァイオリン協奏曲)でもそうだったが、今回の公演(エド・デ・ワールト指揮チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲)でもみどりさんのヴァイオリンが作品の全てをグイグイと引っ張っていくような印象だった。また香港フィルのサポートは実に見事なもので、時にはヴァイオリンに寄り添い、時にはヴァイオリンに対峙し、息をのむような丁々発止な名演奏が繰り広げられた。

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今週金曜&土曜香港フィルを指揮する鈴木雅明さんに今日インタビューさせてもらいました。
http://www.hkpo.com/eng/concerts_and_ticket/concerts/concertdetail.jsp?id=166


    

鈴木さんというと何と言っても”バッハ”という印象ですが、今回の香港フィルでの共演では全くバッハの作品を取り入れていないのはどうしてでしょうか? 
-大きな編成のオーケストラにはバッハの作品の演奏が不向きである事、またそもそもバッハが作曲した頃のオーケストラは現在のオーケストラとは全く異なっていることから、バッハの作品を取り上げませんでした。逆に大きな編成のオーケストラでしか表現できない作品もあるので、今回はハイドンやモーツアルト、メンデルスゾーンの作品を選びました。BCJ以外の楽団との演奏の際にバッハの作品を取り上げて欲しい、とよく依頼を受けますが、基本的にはバッハ以外の作品を取り上げていることとしています。
ところで来年4月にボストン交響楽団と共演するのですが、オーケストラの大変強い要望もあったため、ヨハネ受難曲を指揮します。

香港フィルとの共演となったきっかけは?
-私のロンドンのエージェントから香港フィルとの共演のオファーがありました。以前はどうか分からないが、最近素晴らしい演奏を香港フィルが行っていること、またメンバーの出身国が実に多彩である、とエージェントから聞いたため、香港フィルに大変関心を持ち、今回の共演となりました。なお今回の演奏会にあたっては、香港フィルにお願いをしてゲストコンサートマスターとして寺神戸亮さんを呼んでいただきました。

香港フィルの印象はいかがでしょうか?
-まだ一日しかリハーサルをしていませんが、管楽器がとりわけ優秀ですね。香港フィルの音楽監督のエド・デ・ワールトが管楽器(オーボエ)出身であることから、管楽器にはとりわけオーケストラに対してより注意を払っているような印象があります。

鈴木さんと香港との関係は?
-実はプライベートを含め、今回はじめて香港を訪問しました。中国にも行ったことがありません。香港からは数年前からBCJへ招待を受けていたのですが、スケジュールの都合がつかないため、BCJも今まで香港で演奏会を行ったことがありませんでした。

鈴木さんにとってバッハという存在はどういったものでしょうか?また今回はバッハ以外の作品を演奏されますが、他の作曲家の作品を演奏する際に、バッハとの関連付けなどを意識されることはありますでしょうか?
-バッハとの出会いはずいぶん小さな頃からありましたが、その当時は現在のように多くのバッハの作品を自分が演奏するとは思っていませんでした。若い頃はむしろ1960年代にショルティとウィーン・フィルの来日公演のブルックナーの交響曲第7番、そして1970年のバーンスタインとニューヨークフィルとの来日公演のマーラー交響曲第9番を聞いて大変感銘を受けた、という印象があります。その後カール・リヒターによるバッハの演奏を聞いてからバッハに大きな関心を抱きました。そしてバッハのカンタータ全曲録音をすることになって以来、バッハとは切っても切れない関係になりました。バッハ以外の作品、例えばモンテヴェルディやシュッツ、モーツァルトやハイドンなどを演奏する際に、特別バッハの作品を意識したり、関連付けることはありませんが、バッハ以外の作品を演奏した後、再びバッハの作品を取り上げると、バッハの素晴らしさにいつも強く実感しますね。

今年の秋、東京シティフィルとマーラーの交響曲第1番を演奏すると聞き、大変驚きました。
-以前からマーラーの作品を取り上げてみたいと思っていたのですが、東京シティフィルとの共演が決まり、その際にこのオケの音楽監督の飯守泰次郎さんに「好きな曲を振ってもいいですか?」に訊ねたところ「どんな曲を指揮されても結構です」と快諾されたので、マーラーを取り上げることとしました。実はマーラーの作品を指揮したことは一度もないため、今からとても楽しみにしています。

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2009/20110シーズンにはなかったのだめコンサートが決定! 
http://www.hkpo.com/eng/concerts_and_ticket/concerts/concertdetail.jsp?id=175 
指揮はエド・デ・ワールト、ピアノは最近DGデビューしたアリス=紗良・オットの妹の
モナ=飛鳥・オット。
 
http://www.mona-asuka-ott.de/

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黒澤明生誕100周年を記念して、2009年12月19日~2010年01月17日の期間、
黒澤明生誕100年記念祭が香港で開催中です。AK100のサイト


”世界の巨匠 黒澤明監督作品のフィルムコンサート”
日時:2010年1月3日(祝) 18時30分開演
会場:香港、Island East、Cornwall House、Artis Tree内特設ステージ
演奏:香港フィルハーモニー管弦楽団
指揮:西本智実
演奏曲:黒澤映画・『乱』、『影武者』より、
チャイコフスキー作・ロミオとジュリエット 他(予定)

入場は無料ですが、ここのサイトで予約が必要です。

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 来週金曜(11/27)に香港フィルで演奏されるジョンアダムスの”ドクター・アトミック交響曲”、これは原子爆弾誕生の物語をオペラにジョン・アダムスがオペラ化した作品を交響曲として纏めた作品です。香港フィルのサイトより

オペラ「ドクター・アトミック」については、HMVジャパンのサイトに詳しく書かれているので転載します。 
 ジョン・アダムズ:『ドクター・アトミック』 
原子爆弾誕生を描いた衝撃のオペラ 
なぜ人類はこんな恐ろしいものを作り出したのか― 
作曲家ジョン・アダムズと演出家ピーター・セラーズの「問題作コンビ」による、原子爆弾誕生の物語。「原爆の父」ロバート・オッペンハイマーと仲間たちの科学への情熱、そして政治の介入と倫理との葛藤を描きます。公開された軍関係文書や手紙などを中心にセラーズが再構成した台本、アダムズのドラマティックな音楽、核融合を表すバレエが舞台を彩り、2005年のサンフランシスコ・オペラでの初演は大きなショックを観客に与えました。 緊迫のうちに人類最初の核実験、トリニティ計画は無事に終了。そして静寂のなか、「水ヲクダサイ」と日本語の朗読が響き渡る、衝撃のオペラです。  HMVのサイトより

ドクター・アトミック交響曲は2007年イギリスのプロムスで作曲者アダムス自身が初演指揮しましたが、その時の音源がfile shareサイトにありましたので、関心のある方はお聞きください。

最初ぼくは聴く予定にしていなかったのですが、作品の内容とYouTubeの画像、紹介したpromsの音源を聴いて、これは日本人としても聴きに行かなくちゃ!と思い、コンサートに行く予定です。

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昨年はリーマンショックなどの経済危機の影響で中止になった 香港フィル野外コンサート、今年はちゃんと行われます! 詳しくはこちらまで。
http://www.hkpo.com/eng/concerts_and_ticket/concerts/concertdetail.jsp?id=171

一昨年の野外コンサートでは無料配布された15,000枚のチケットが 即日で無くなっちゃたので、興味のある方は早い目にサイトに書かれている メールアドレス迄連絡をされた方がいいですよ。 
 
なお2007年に行われた野外コンサートの模様はこちらをご覧ください。
http://hkpo.blog.shinobi.jp/Entry/45/

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指揮・ヴァイオリン: コルヤ・ブラッヒャー 
 
 
モーツァルト: 交響曲第41番 
シューマン: ヴァイオリン協奏曲 
チャイコフスキー: 弦楽セレナード

コンサートプログラムはこちら。 http://download.hkpo.com/files/concert/hse_prog/20091002&03_Blacher.pdf

 
ベルリンフィルのコンサートマスターを長く務め、現在はアッバード率いるルツェルン音楽祭オケのコンサートマスター、コルヤ・ブラッヒャーが2005年、2007年に続き再び香港フィルとの共演。なおコルヤ・ブラッヒャーの父は高名なドイツの作曲家ボリス・ブラッヒャー。 
 
最初のモーツアルトも最後のチャイコフスキーもコンマス席に座ってオケのメンバーと一緒にブラッャーは演奏しました。大きな破綻もないし、ブラッヒャーが要求する音楽をHKPOは奏でようとしましたが、お互いの自主性を高く要求される指揮者なし(時々席を離れてブラッヒャーは指揮することもありましたが)の演奏はどうも香港フィルには限界があるようです。ブラッヒャーの求めた音楽は実にしなやかで、新鮮味あふれるものであったのが、聴いていて想像が出来たので、結果的には実に残念な内容でした。やはりHKPOにはエドみたいなうるさ型の指揮者にしっかり手綱を締めてもらった演奏の方が 結果的には良いようです(演奏家は大変でしょうがね)。 
 
なおシューマンのヴァイオリン協奏曲、この曲は本当に色々と紆余曲折があった作品なので、ちょっと作品紹介(wikiより一部転載) 
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1853年9月下旬から10月初旬とわずか2週間程度で作曲された。ヨーゼフ・ヨアヒムの要請を受け、またシューマン自身もヨアヒムが弾くベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聞いて感銘を受け、このヴァイオリン協奏曲ニ短調を書いた。しかし、なぜかヨアヒムはこのヴァイオリン協奏曲を取り上げることなく自筆譜を封印し、クララ・シューマンは「決して演奏してはならない」と家族に言って聞かせていたという。それは、シューマンがライン川に身を投じる直前に書き上げていたピアノ曲「天使の主題による変奏曲」の主題と協奏曲の第2楽章が酷似していたためだという。シューマン自身はこの曲を、「天使から教えてもらった曲だ」と語っていた。結局シューマンのヴァイオリン協奏曲は、1937年にベルリンの図書館でヨアヒムの蔵書から発見されるまで陽の目を見ることはなかった。世界初演はナチス・ドイツ宣伝省主導で、同年11月26日にゲオルク・クーレンカンプの独奏、カール・ベーム指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の共演で行われ同時に全世界に向けて短波放送で流された。しかしこのときの演奏は、クーレンカンプ曰く「シューマンの自筆譜のままでは演奏不可能」として、自身が大幅に書き換えた版によるものであった。実際にクーレンカンプが言うように演奏不可能な箇所はあるが、クーレンカンプの改訂は演奏不可能な箇所を修正するだけではとどまらないものとなっている。翌12月にセントルイスでアメリカ初演を行ったユーディ・メニューインが「自分こそが真の初演者」と宣言するほどであった。レコード録音はテレフンケン社が担当する事になったが、然し、現在と異なり当時は専属契約関係が厳格であり、それ故にエレクトローラHMV系のベームを使う事が出来ず、その為に自社看板指揮者のハンス・シュミット=イッセルシュテットを起用して同年12月20日にベルリン・ジングアカデミーで録音された。 
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という、なんとも悲しいシューマンの末路と政治に翻弄された作品です。 
 
この協奏曲でもブラッヒャーは弾き振りでしたが、ソロ以外の場面では楽員に向かって指揮をし、オケはそれなりに反応していました。この作品はぼくは殆ど今まで聴いたことが無い作品なので、今回のコンサートを聴いただけで感想を述べますと、いかにもシューマン的な旋律がちりばめてあり、もっと評価されてもいいんじゃないか、というのが最初の印象でした。しかし彼が作曲したシンフォニーやピアノ曲に較べて、ダイナミックさや印象深い旋律などはありませんが、シューマン自身が「天使から教えてもらった曲」と語ったようになんとも純粋な作品だなと思います。 
 
それにしてもブラッヒャーみたいな演奏家がオケのメンバーを支えているベルリンフィルやルツェルン音楽祭オケってなんか凄いですね。
 
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指揮: ジョン・ネルソン 
ソプラノ: アンナ・カテリナ・アントナッチ 

ハイドン: 交響曲第86番 
ベルリオーズ: クレオパトラの死 
ハイドン:ナクソスのアリアンナ 
ベルリオーズ: 「ファウストの劫罰」より 鬼火のメヌエット、妖精の踊り、ラコッツィ行進曲
コンサートプログラムはこちら。
http://download.hkpo.com/files/concert/hse_prog/20090925&26_Antonacci.pdf

今日のコンサートはハイドン→ベルリオーズ→ハイドン→ベルリオーズというプロ。最後のラコッツィ行進曲以外、ぼくにとっては実は初めて聞く曲ばかり、というぼく的には珍しいコンサートでした。 

まずハイドン。以前ハイドンについてコメントしたけど、実はちょっと苦手というかぼくにはよく判らないのがハイドン。この86番は突然旋律が止まったかと思うと、全然違った雰囲気の旋律が奏で出す、というハイドンらしい手の込んだというか、ちょっと人を食ったような作品。贅沢な娯楽って聞いていて感じましたね。でも他の作品と同じく旋律が耳に残らないンですよね、ハイドンって。 

続いてイギリスのコヴェントガーデンでカルメンを演じ、絶賛を博したアントナッチが登場。 
まずはベルリオーズの「クレオパトラの死」。これは素晴らしかった!死を間近にしたクレオパトラの苦悩と孤独、最初はプログラムの歌詞を追っかけながらコンサートを聴いていましたが、アントナッチの実に叙情的な歌いっぷりに引き込まれ、彼女の歌う姿に見入っていました。周りの人たちもぼくと同じように歌詞を読みながら聞いている人が多かったのですが、彼女の熱唱のために次第にステージ見入って聴かれる人が見られました。 

休憩を挟んでまたまたハイドン。ハイドンの作品なのに歌詞はイタリア語。そして歌手のアントナッチは楽譜を見ながらの歌。なおベルリオーズの時は楽譜無しでの熱唱。ちなみにアントナッチはイタリア人です。この曲は交響曲と同じく、全く印象が残らず・・・。 

最後は「ファウストの劫罰」より3曲抜粋。いい演奏をしたのだけど、なんかアンコールみたいな感じでした。プログラム全体を通しての組み立て方があまり良くなかったように感じます。最初にシンフォニーをおいて、次にベルリオーズのカンタータ、休憩を挟んで今度はハイドンのカンタータ、そしてベルリオーズのファウスト、ってどうもバランスが取れていないというか、聞き手としてはなんかおさまりの悪い曲順だったな。最初に序曲か何かを入れて、カンタータを2曲続けてから前半終了。後半にシンフォニーか管弦楽曲を1曲ってした方が良かったんじゃないかなぁ。 

指揮したジョン・ネルソン。手堅い演奏はするものの、これといって特徴を感じられない指揮者だったのもちょっと残念でした。
 
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ワーグナー:
”ニュールンベルグのマイスタージンガー”第一幕前奏曲
”タンホイザー”~おごそかなこの広間よ
”ローエングリーン”第一幕前奏曲
”トリスタンとイゾルデ”前奏曲と愛の死 
R.シュトラウス: ”ドンファン” ”サロメ”最後のシーン 
指揮: エド・デ・ワールト 
ソプラノ: デヴォラ・ヴォイト 

2009/2010のオープニングはいきなり超メジャーソリストが登場。METや世界中のオペラハウスから引っ張りだこのデヴォラ・ヴォイトがワーグナーR.シュトラウスを歌います。それでも一番高い席でHK$520(約7,000円)、一番安い席だとHK$180(約2,500円)だからたまらない!プログラムは当初ローエングリーンからスタート予定だったのですが、エドの意向でマイスタージンガーを最初に演奏することになりました。オープニングなんだからマイスタージンガーから始める方が確かにいいですよね。長い夏休みを終えて久々のエド指揮の演奏だから、ちゃんとエド色がサウンドに出るかな、新メンバーも数人加入したし、どうかな?と思いながらコンサート会場向かいましたが、さすがにやってくれます、エド。どっしりとそして実に洗練されたサウンドで、今年も素敵なコンサートを聴かせてくれるなぁ、とちょっとにっこり。 

ヴォイトですが、有り余る程の声量と表現力で、さすが世界のオペラハウスを席巻する歌手だなと実感しましたが、もう少し人間味がある歌が出来なかったかな?と少し思いました。イゾルデのトリスタンに対する切ない愛、サロメの屈折はしているけどヨカナンへのひたむきな愛、それがヴォイトの歌があまり上手すぎて、かえって人間味が無かったって感じ。まあ贅沢な要求なのかも知れないけど。 

ところで今シーズンからHKPOのサイトでコンサートプログラムがpdfで見ることが出来ます。 
http://download.hkpo.com/files/concert/hse_prog/20090904&05_Deborah_Voigt.pdf 
コンサートの雰囲気をプログラムを見て、少し感じて頂けるかな? 

なおエドが30年前にアムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団と録音したワーグナー集がfile shareにありましたので、興味のある方は下記サイトからDLして下さい。 

この録音はフィリップスによるコンセルトヘボウの最初のデジタル録音で、1979年9月に行われました。 
http://rapidshare.com/files/280694755/WagEdoOver_549.rar

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ブラームス: ハンガリア舞曲(3曲) ヴァイオリン協奏曲 
バルトーク: 管弦楽のための協奏曲 
指揮: 張弦(Zhang Xian) 
ヴァイオリン: ヴィクトリア・ムローヴァ 

昨年の2007/2008のグランドフィナーレはアサートンのショスタコSym.7で派手に終わらせましたが、今回の2008/2009のグランドフィナーレは女流中国人指揮者張弦でバルトークの管弦楽のための協奏曲で〆。張弦は2007年に衝撃的な香港フィルとのデビュー演奏を繰り広げた指揮者。 

まずはブラームスのハンガリア舞曲から3曲。いきなりビックリです。なんという流麗なそして力強い演奏なんですか!完全に作品を、そしてオケを彼女は手中におさめています。チェリが来日公演で何度かアンコールでハンガリー舞曲を演奏しましたが、その当時の衝撃を彷彿させる演奏でした。 

2曲目はブラームスのヴァイオリン協奏曲、ヴァイオリンはムローヴァ。勿論名前は知っているけど、LPやCD、放送でも恐らく聴いたことがないんです。はっきり言って、可もなく不可もなくという当たり障りのない演奏っていう感じでした。演奏を聴きながら、昨年五嶋みどりが演奏した同じブラームスのヴァイオリン協奏曲のとんでもない名演奏を思い出しました。http://hkpo.blog.shinobi.jp/Entry/274/ 完全に役者が違うね、ムローヴァとみどりだと。張弦の見事なサポートがありながら、主役がこれだから、せっかくのブラームスも印象薄・・・。 

メインのバルトーク。もう声も出ませんでした。もの凄い緊張感、そして心地よい開放感。Concerto for Orchestraという題名が何故バルトークが付けたのかを紐解いてくれるような演奏でした。奏でられる楽器それぞれが協奏曲のように奏で、オケがソロ楽器をサポート。そのソロ楽器はオケ側に戻り、また違うソロ楽器が協奏曲のように奏でる。そして全体が完成されていく、というのがこの作品だったのですね。聞き慣れたと思っていたこの作品の真価が張弦の演奏で初めて発見することが出来た、そんな素晴らしい演奏でした。 

張弦はかつてニューヨークフィルのアシスタント指揮者でしたが、現在はイタリアのジュゼッペヴェルディミラノ交響楽団の音楽監督を2009年のシーズンからつとめることになりました。
http://www.laverdi.org/english/index.php 

香港フィルを是非是非また指揮をして欲しい指揮者です。そして間違いなく僕がもっとも評価する若手指揮者(彼女は現在36歳)です。 

なお張弦がインディアナポリスSOを指揮した演奏会がオンデマンド配信しています。 曲はベートーヴェンのSym.4。 これも見事な演奏です! http://www.instantencore.com/music/details.aspx?PId=5028246


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